薄桜鬼の小説を中心に活動していきたいと思っています。お気軽に拍手orコメントいただけるとうれしいです。
あめおめ早々、わたくしお得意の「ちょっと読んだ後しょっぱくなるシリアスというか暗いBL小説」をうpします;;
新年なのに、一番最初にあげる小説がこんなんでいいのだろうかと思いましたが、
そのうちと思ってるうちにポーンと忘れてしまうので早めにあげようと思います。
最初は「新年だから、薄桜鬼オールキャラで転生新年会モノ書こう!」とか思ってたのにね・・・。
内容は龍之介×平助(というか平助→龍之介)の、ちょっとBL風味な転生ネタです。
以前書いた「白い月」とちょっとリンクしてるかも・・・。
黎明録平助ルートBADEND後のものですので、ネタバレ、シリアス、あとちょっとBL注意です。
OKな方のみ↓からどうぞw
能なき獣
今でも覚えてる。手のひらで感じていた、あいつの死を。
「ごめんな」
あの時と同じくらい震えて情けない声は、安い六畳の部屋に溶けていく。
「ごめんな、」
「何で、あんたが謝るんだよ。」
返ってくる声も、俺に負けず劣らず頼りなくて、あんまりにてて笑えない。あの時とは逆だ。あの時は龍之介が「ごめんな」って言って、俺は、謝るのは俺なのに、お前は俺に殺されたのに、って泣いた。怖いくらい鮮明に覚えてる。血生臭い肉塊も、真っ赤になった障子も、外から照らす月にぼんやり照らされながら狂う龍之介の赤い目も白い髪も、昨日何を食べたかより確かな記憶として脳に残っている。
俺の熱っぽい額に手を当ててる龍之介の顔は、あの時とはまるで違うけど、照らす月は何も変わっちゃいなかった。
「お前のこと、助けてやれなくて、ごめんな。」
「お前は悪くない。俺がバカやって勝手に死んだんだ。」
世界がぼやけてて、龍之介が今どんな顔をしてるか分からない。分からないけど、俺が握った龍之介の手が小さく震えてるのは分かった。
泣いてるのか?聞こうと思って吸った息で喉が引きつって、俺は血でも吐くんじゃないかと思うくらい咳き込んだ。
「もういいから寝ろよ。ひどい顔色してるぞ。」
俺の背中を擦って、龍之介が言う。でも俺はどうしようもない気持ちを抑えきれなくて、駄々をこねるガキみたいに首を横に振った。
「俺、怖いんだ…」
がらがらと痰が絡んだ声を振り絞る。頭がひどくぼんやりしてて、ちょっと気を抜いたらそのまま寝入っちまいそうだ。
「お前を殺したくない」
「殺されるなんて、思っちゃいない。」
「思ってなくたって、どうなるかわかんないじゃんか・・・!」
「でもお前は殺す気がないんだ。俺もお前に殺される気はしないし」
「違う!あの時だって同じだった…!お前、俺に殺されるなんて考えてたかよ?!」
叫んだせいで頭がガンガンした。耳鳴りがあんまりうるさくて耳を塞ぎたくなる。
でも、龍之介が何か言おうとしてたから、耳を塞いだら聞けなくなると思ってなんとか我慢した。
「たしかにあんな死に方するとは思っちゃいなかった。無事で帰れるとは思ってなかったし、もしかしたら死ぬかもしれないっていうのも思ってたけど、それでもせいぜい返り討ちくらいだって。
でも、お前が最初に羅刹を殺してるのを見たとき、もしこいつが俺を殺すことになったら、こんな辛い顔させちまうんだなって思った。」
龍之介はまるであの時の痛みが蘇ったみたいに、軽く胸を押さえた。
「あんな状況だったから、少しでも下手したら殺されちまうってわかってた。死ぬのも怖かった。でも、それと同じくらい、お前らに俺を殺させるのが怖かったんだ。俺を殺すとき、土方さんなら、沖田なら、斎藤や原田や、平助なら、どんな顔するんだろうって、夜になるとよく考えてたよ。」
きっとこいつは、俺や新八っつぁんや左之さんが酒飲んで騒いで絡んで、そんなときでも、不意に襲う不安に壊れそうな思いをしてたんだ。
そう思うと、また自己嫌悪で気持ち悪くなった。
「謝るのは俺なんだ。お前の言葉全部無視して勝手に死んだせいで、今でもお前をこんなに苦しめる。俺がもっとちゃんとしてれば。」
龍之介はそう言ってくれたけど、俺は山南さん何度も話したから知ってる。こいつは、あの時死ななくても近い死は免れなかった。もう、何もかも知りすぎてたんだ。ちゃんとした判断を下せなかった龍之介が悪いのか、そうさせられなかった俺が悪いのか。ずるずると情報を漏らすがままにしちまった新選組が、そもそも手元に置こうとした芹沢さんが、誰が悪いのか、俺にはもう分からなかった。
ただ、俺があいつを助けられなかったこと、そして殺したことは事実だ。
「死にたい。」
「そしたら俺も死ぬ。」
「はは、じゃ心中でもするか。でもそうすると、俺またお前のこと殺すんだぜ。」
「今度はお前が死んでから死ぬからいい。」
「ちげーって。また死なせるんだなってこと。」
「じゃ死ぬなよ。辛くても生きろよ。」
「まあ、それくらい苦しんで当然だよな…、あの日のお前の痛みを考えたらさ…。」
「だからなんでそっち持ってくんだよ…いい加減諦めろって。」
頭を掻いて、それからあきれた様子で溜め息をついて、それでも握った手を離さないでくれるのは、どうしてなのか無性に気になった。
「なあ、龍之介」
「何だよ。」
「俺のこと、愛してるか?」
「…愛してるよ。」
刀を頼りに何かを求めていたあの頃には絶対に言えなかった言葉。今は気鬱になるたびに言ってるけど、龍之介の言う「愛してる」と、俺の言う「愛してる」の意味は多分噛み合ってない。それでも何度も聞いちまうのは、やっぱり俺が弱虫だからだ。
「龍之介、許して」
「いい。」
「俺を許してくれ、」
「やめろよ。」
「許してくれ」
「もう、もう許してやれよ、平助…!」
絶対噛み合わない会話だけを、意味もないのに続ける。寄り添う。唇を貪る。
熱に浮かされる夏の終わり。俺たちはそうやって能無しな獣みたいに唯、「愛」しあった。
はい新年早々暗いー\(^q^)/
平助はなんかこういう暗いやつが合うっていうか、暗いの書くとき平助が一番書きやすいんですよ。
本編でもよく鬱のスパイラルに陥ってジメジメしてる子なので;;
以前書いたSSL設定では「前世をやんわり覚えているのは龍之介と千鶴くらい」って書いたんですが、これはそっちとは切り離して書きました。
設定としては、「龍之介の命日にだけ自分たちの前世を思い出す二人」って言う感じ。一応学生かなーとおもいつつ。
平助の部屋は絶対ボロアパート。シンクとかヌルヌルしてる感じ。
「あんなに龍之介スキなのに龍之介出てくるの最近書いてない!」って思って書いたけど、書いてみたらまた平助中心みたいになったorz
いつか龍之介視点のもうちょっと明るい小説を書いてみたいとか思っていたりモゴモゴ・・・
今でも覚えてる。手のひらで感じていた、あいつの死を。
「ごめんな」
あの時と同じくらい震えて情けない声は、安い六畳の部屋に溶けていく。
「ごめんな、」
「何で、あんたが謝るんだよ。」
返ってくる声も、俺に負けず劣らず頼りなくて、あんまりにてて笑えない。あの時とは逆だ。あの時は龍之介が「ごめんな」って言って、俺は、謝るのは俺なのに、お前は俺に殺されたのに、って泣いた。怖いくらい鮮明に覚えてる。血生臭い肉塊も、真っ赤になった障子も、外から照らす月にぼんやり照らされながら狂う龍之介の赤い目も白い髪も、昨日何を食べたかより確かな記憶として脳に残っている。
俺の熱っぽい額に手を当ててる龍之介の顔は、あの時とはまるで違うけど、照らす月は何も変わっちゃいなかった。
「お前のこと、助けてやれなくて、ごめんな。」
「お前は悪くない。俺がバカやって勝手に死んだんだ。」
世界がぼやけてて、龍之介が今どんな顔をしてるか分からない。分からないけど、俺が握った龍之介の手が小さく震えてるのは分かった。
泣いてるのか?聞こうと思って吸った息で喉が引きつって、俺は血でも吐くんじゃないかと思うくらい咳き込んだ。
「もういいから寝ろよ。ひどい顔色してるぞ。」
俺の背中を擦って、龍之介が言う。でも俺はどうしようもない気持ちを抑えきれなくて、駄々をこねるガキみたいに首を横に振った。
「俺、怖いんだ…」
がらがらと痰が絡んだ声を振り絞る。頭がひどくぼんやりしてて、ちょっと気を抜いたらそのまま寝入っちまいそうだ。
「お前を殺したくない」
「殺されるなんて、思っちゃいない。」
「思ってなくたって、どうなるかわかんないじゃんか・・・!」
「でもお前は殺す気がないんだ。俺もお前に殺される気はしないし」
「違う!あの時だって同じだった…!お前、俺に殺されるなんて考えてたかよ?!」
叫んだせいで頭がガンガンした。耳鳴りがあんまりうるさくて耳を塞ぎたくなる。
でも、龍之介が何か言おうとしてたから、耳を塞いだら聞けなくなると思ってなんとか我慢した。
「たしかにあんな死に方するとは思っちゃいなかった。無事で帰れるとは思ってなかったし、もしかしたら死ぬかもしれないっていうのも思ってたけど、それでもせいぜい返り討ちくらいだって。
でも、お前が最初に羅刹を殺してるのを見たとき、もしこいつが俺を殺すことになったら、こんな辛い顔させちまうんだなって思った。」
龍之介はまるであの時の痛みが蘇ったみたいに、軽く胸を押さえた。
「あんな状況だったから、少しでも下手したら殺されちまうってわかってた。死ぬのも怖かった。でも、それと同じくらい、お前らに俺を殺させるのが怖かったんだ。俺を殺すとき、土方さんなら、沖田なら、斎藤や原田や、平助なら、どんな顔するんだろうって、夜になるとよく考えてたよ。」
きっとこいつは、俺や新八っつぁんや左之さんが酒飲んで騒いで絡んで、そんなときでも、不意に襲う不安に壊れそうな思いをしてたんだ。
そう思うと、また自己嫌悪で気持ち悪くなった。
「謝るのは俺なんだ。お前の言葉全部無視して勝手に死んだせいで、今でもお前をこんなに苦しめる。俺がもっとちゃんとしてれば。」
龍之介はそう言ってくれたけど、俺は山南さん何度も話したから知ってる。こいつは、あの時死ななくても近い死は免れなかった。もう、何もかも知りすぎてたんだ。ちゃんとした判断を下せなかった龍之介が悪いのか、そうさせられなかった俺が悪いのか。ずるずると情報を漏らすがままにしちまった新選組が、そもそも手元に置こうとした芹沢さんが、誰が悪いのか、俺にはもう分からなかった。
ただ、俺があいつを助けられなかったこと、そして殺したことは事実だ。
「死にたい。」
「そしたら俺も死ぬ。」
「はは、じゃ心中でもするか。でもそうすると、俺またお前のこと殺すんだぜ。」
「今度はお前が死んでから死ぬからいい。」
「ちげーって。また死なせるんだなってこと。」
「じゃ死ぬなよ。辛くても生きろよ。」
「まあ、それくらい苦しんで当然だよな…、あの日のお前の痛みを考えたらさ…。」
「だからなんでそっち持ってくんだよ…いい加減諦めろって。」
頭を掻いて、それからあきれた様子で溜め息をついて、それでも握った手を離さないでくれるのは、どうしてなのか無性に気になった。
「なあ、龍之介」
「何だよ。」
「俺のこと、愛してるか?」
「…愛してるよ。」
刀を頼りに何かを求めていたあの頃には絶対に言えなかった言葉。今は気鬱になるたびに言ってるけど、龍之介の言う「愛してる」と、俺の言う「愛してる」の意味は多分噛み合ってない。それでも何度も聞いちまうのは、やっぱり俺が弱虫だからだ。
「龍之介、許して」
「いい。」
「俺を許してくれ、」
「やめろよ。」
「許してくれ」
「もう、もう許してやれよ、平助…!」
絶対噛み合わない会話だけを、意味もないのに続ける。寄り添う。唇を貪る。
熱に浮かされる夏の終わり。俺たちはそうやって能無しな獣みたいに唯、「愛」しあった。
はい新年早々暗いー\(^q^)/
平助はなんかこういう暗いやつが合うっていうか、暗いの書くとき平助が一番書きやすいんですよ。
本編でもよく鬱のスパイラルに陥ってジメジメしてる子なので;;
以前書いたSSL設定では「前世をやんわり覚えているのは龍之介と千鶴くらい」って書いたんですが、これはそっちとは切り離して書きました。
設定としては、「龍之介の命日にだけ自分たちの前世を思い出す二人」って言う感じ。一応学生かなーとおもいつつ。
平助の部屋は絶対ボロアパート。シンクとかヌルヌルしてる感じ。
「あんなに龍之介スキなのに龍之介出てくるの最近書いてない!」って思って書いたけど、書いてみたらまた平助中心みたいになったorz
いつか龍之介視点のもうちょっと明るい小説を書いてみたいとか思っていたりモゴモゴ・・・
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妄想
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薄桜鬼、BASARAを主食として時に雑食。
ついった https://twitter.com/#!/kawazu84
ピクシブ http://www.pixiv.net/member.php?id=1406302
ついったには鍵がかかってますが、リアルの知り合いにばれないためなので報告していただければこちらからもリフォローするとおもいます。
読み方はよく間違われますが「かえる」ではなく「かわず」です。
ついった https://twitter.com/#!/kawazu84
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読み方はよく間違われますが「かえる」ではなく「かわず」です。
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