薄桜鬼の小説を中心に活動していきたいと思っています。お気軽に拍手orコメントいただけるとうれしいです。
やっとこ小説うpにありつけました!!
本当はおととい上げる予定だったのですが、皆さんご存知のとおり真夜中に余震でブチ起こされ、そのまま停電していたためにPC動かず・・・。
ほんともう勘弁してほしいですね・・・・orz
で、今回の小説は久々に山崎君視点です。
そういえばこのブログに一番最初に上げた薄桜鬼モノは山崎君のドシリアスだったはず。
今回はギャグとまでは行きませんが、シリアスではまったくないです。
めずらしくシリアスっ気が抜け、そしてなぜかのこの季節に幽霊モノ。
夏までまとうかと思いましたが、そういって忘れそうなので今のうちにうpします。
今回のやつは、今までで一番長いと思われます。
だからなんだという話ですが;;
今回は腐の色はないので、龍×崎ではなく龍+崎になりました。
あたりまえのように黎明録本編のネタバレ含みますので、ご注意ください。
おkな方は↓からお願いします~
監察方、山崎烝の幽霊奇譚
平隊士の中では、よく他愛もない噂話が流行る。
暇を持て余した隊士が一時の暇つぶしに、あるいは注目を浴びるために、どうでもいいような作り話を流すのだ。
今までにあったのは、「境内の裏に生える蓬を食べると剣の腕が上がる」とか「土方さんの部屋の壁には抜け道がある」とか「永倉さんが島原で勢い余って子供をこさえた」とか、とにかく根も葉もなくまたどうでもよい話が殆どで、その噂は大体がひと月足らずで消えてしまうことが常だった。
しかし、今回のはいつものとは違うらしい。
西本願寺の敷地内に幽霊が夜な夜な現れるというありきたりな噂は、かれこれ発足してから三月は経とうとしている。最初はいつものことだと気にも留めなかったが、さすがに隊士達が4、5人集まって厠に行ったり、夜の巡察を怖がったりするようになってからは副長も頭を悩ませている。
「詳しく話を聞いてこい」と土方さんが言ったのは、おそらく昨晩境内で猫の声に驚いて叫んで漏らした隊士がいたからにちがいない。
「すまない、少しいいだろうか。」
適当に数人の隊士に声をかけると、平隊士達は一瞬びくりとした。俺は監察だ。俺にこうやって話を聞かれるのは疑われるようであまりいい気分ではないのだろう。
「君達は、噂についてなにか知っているか?…その、幽霊がどうとかいう話だ。」
無論、どこでどんなふうに現れ何をするかなどではなく、誰が流したかだ。
隊士達は自分達の所行について咎められるわけではないことを知って、少し警戒を解いた。
「少しは知ってますけど…山崎さん、幽霊なんて怖かったんですか?」
「あ、あぁ、少しな。」
土方さんに聞き込みを依頼されたとは言えない。今の疑惑が土方さんに向けられるのはあまり良いとは言えないからだ。実際は俺も幽霊を信じたりはしないほうだった。
「何人か見てるんですけど・・・屯所の入り口とか、中庭とかに、夜になると昔殺された隊士の幽霊が出るって、」
「俺、見たんすよ、井戸の横に座ってんのを…!もうあれから怖くて、暗いうちに厠いけなくなっちまって…!」
ありきたりな話だ。新選組隊士が隊務で、病で、または士道不覚悟で腹を詰めて死ぬことなどさほど珍しくはない。
ただ予想外だったのは、聞いた、ではなく見た、だということだ。
「君は、その幽霊を本当に見たのか?」
「見ました。間違いないです。俺、そいつ知ってますから。」
「ほかにも、そいつを見たって奴が大勢いたから絶対、いるんですよ。」
「それでみんな怖がって夜出歩けなくなっちまって」
「…だが、無害なのだろう?」
端から存在については肯定していない。しかしこうも目撃者が多いとさすがに噂ではないようにも思う。気づけば俺はなんとなくその話に首を突っ込んでいた。これから夕餉のための食材を買いにいかなくてはいけないのに何をやっているんだろう。
「無害だからいいってもんじゃないですよ!それにこれから何かされるかもしれないし…」
「見間違いではないんだな?」
「絶対見ました!足があるかどうかはみなかったけど、あいつはもう死んでるし…」
「その隊士というのは、誰なんだ?俺が知る人物か?」
何気なく聞いたつもりだった。しかしそれを聞かれた途端、隊士たちの顔に動揺が浮かぶ。
「あ、いや…」
怪しい。もしかしたらここからなにか重要な話が聞き出せるかもしれない。俺は余計に詰め寄った。
「誰なのか、話せないということか?」
「いや、でも…」
「山崎さんには、ちょっと…」
「俺…?何故俺だといけない?」
「その、」
「いけない訳じゃ…」
「誰なんだ?頼む。教えてくれ。」
しばらくもごもごとしていた隊士たちだったが、俺がしつこく食い下がると、暫くして何人かが観念したように目配せをした。
「・・・い、井吹です。」
「…は?」
あまりに意外な名前だった。
「井吹、というのは、井吹龍之介のことか?」
「はい・・・。」
隊士たちはこぞって大真面目だ。嘘をついているそぶりはない。井吹?何故井吹?いやそれ以前に井吹が幽霊なわけがないし、そもそも井吹を知るほどのそこそこ古株な隊士が何故そんな突拍子もない発想に至った?
どこから突っ込んでいいか分からないが、とにかく一番の疑問を投げかけた。
「何故、俺には話せなかったんだ?」
「いや、だって・・・、なあ・・・?」
「山崎さん、井吹と一番仲よかったし、」
つまり、この平隊士達は平隊士なりに俺に気を使っていたらしい。
「ホントは、井吹の話だからちゃんと山崎さんにも話しようってなったんですよ?でも、山崎さんあいつが死んでからなんか疲れてたっていうか…」
「きっとあんまり思い出したくないんだろうな、ってことで、やっぱやめるかって。」
…つまり、ここのところ松本先生の手伝いで屯所をうろついていた井吹を、隊士達が幽霊と勘違いしていたらしい。
井吹が人目につかないよう夜に、しかも人気のない場所を歩いていたのが災いしたようだ。
実際、井吹が負傷した際は、隊務と世話に追われて疲れがたまっていたかもしれないが、まさか一般の隊士にまで心配されているとは思ってもみなかった。
思わぬ真実の発覚に脱力感すら覚える。
「…他の隊士達にも伝えてほしいのだが、井吹は断じて幽霊などにはなっていない。」
「え?でも…」
「兎に角絶対だ。」
当たり前だ。その幽霊たる井吹はまだ死んでいないのだから。ただ、それを明かすのはいくらなんでも無理がある。だからとりあえず断言だけしておいた。
隊士達の不思議そうな目を受けるのは、思った以上に心苦しかった。
「…はあ。」
副長の部屋から出てすぐに、そんな疲れた溜め息が漏れた。やはり土方さんに嘘をつくのは気が滅入る。絶対にばれないだけの実力をもっていればなおさらだった。
だが、まさか「屯所に出入りする井吹を隊士達が幽霊だと間違った」などとは口が裂けても言えない。井吹は本来、二度と新選組に関わってはいけない存在なのだ。
屯所をうろついていたなんてことを知られるのは、井吹の為にはならない。
「しかし、井吹が人目についているというのも問題だな…」
平隊士だったからよかったものを、冷静な人物であればまさか幽霊が屯所をうろついているなんて思考には至らないだろう。不審者として斬られることだってあり得るのだ。
などと考えていたら。
「な…、」
俺には天啓とも言える程の勘か、そうでなければ結ばれるほどの運命でもあるのだろうか。
俺が顔を上げた先には、件の井吹龍之介その人がいた。
「井吹!」
声を掛けると、井吹は驚いて振り返った。このあたりをうろつくのに躊躇はあったらしい。しかし、だからといって隊士の目につく場所にいるのはあまり感心しない。
俺が駆け寄ると、井吹はばつがわるそうに俯いた。
「松本先生の手伝いで来ていたのか?」
俺の問いかけに、井吹はやはりすまなそうな顔で頷く。
「その様子なら、人前に姿を出さないよう努力はしていたんだろうが…」
『わるい。』
井吹の口が動き、そう伝える。月が明るい夜でよかった。口元さえ見えればだいたいの言いたいことは理解できる。おそらく監察だからどうこうではなく、ただ単に長い間一緒にいるうちに慣れてきたということだ。
「いや、君のせいだけではない。いつもここを通るのか?」
聞くと、井吹はこくりと頷き、それから近くにある井戸を指差す。なるほど、この敷地内で水を汲もうとしたらこの井戸に嫌でも辿り着く。
「井吹、君はしらないかもしれないが、平隊士の間では君のことが噂になっている。
その…、屯所に君が幽霊として留まっていると…」
そんな、ちょっと聞いただけではふざけているだけのような言葉に、井吹はめいっぱい深呼吸するくらいの間きょとんとし、それからブッと噴き出した。
「わ、笑い事ではない!!」
俺がそう怒っても、井吹はなにか壷にはまったらしくしばらく笑いがとまらなかった。
そんなふうに笑われては、なんだか「そんなことを真面目に諜報しようとしていたなんて」と笑われているようで、こっちが恥ずかしくなった。
ひとしきり笑った井吹はようやく落ち着いたのか、俺に『わるい』と頭を下げる。その顔がまだ笑いをこらえていて謝られている気にならなかった。
「だ、だが、本当に危ないんだぞ!屯所でうろつくのは・・・!幽霊だなんて間の抜けた発想をする人間だけじゃないんだ。怪しまれて斬りかかられたらどうする?」
井吹はただでさえ怪しまれやすい。目つきも悪いし俺も初めて会ったときは、
考えはじめて、気づいた。
初めのころの井吹の顔つきは、たしかにいいものではなかった。目つきも悪い、顔も険しい、おまけにどこか人を寄せ付けない敵意にも似た雰囲気を纏っていて、何というか、見た目や第一印象で大いに損をする顔をしていた。
しかし、今はどうだろう。
いつの間にかこいつの、警戒心丸出しな、嫌な態度は見なくなっていた。
今だってそうだ。すまなそうに謝ったり無防備にぽかんとしてみたり、腹が痛くなるほど笑ったり、同じことを、つい一年前の井吹がしただろうか。
今、井吹が年相応の表情を出せるようになったのは、新選組を去ったからだろうか。それとも、昔から険しかったその雰囲気が、この頃になって和らいだのだろうか。
もし後者だとしたら、なんだか嬉しい。
などと考え込んでいたら、躊躇いがちに肩をたたかれた。見るよりさきに井吹が顔をのぞき込んでくる。
『ごめんって 言ってるだろ』
ぱくぱくと口を動かしながら困った顔をする井吹を見てようやく、俺が井吹をほったらかしにして物思いにふけっていたことに気づく。どうやら井吹は、俺がいきなり黙り込んだ理由を、怒っているからだと勘違いしたようだ。
「いや、怒ったわけではないんだ。ただ、昔のことを思い出して…」
俺としては微笑みさえ浮かべるような気分で言ったのだが、それを聞いてあからさまに「何言ってるんだこいつ」という顔をして俺の額に手を当ててきた。
「…心配してくれるのはいいが、熱はないぞ。」
なぜそこで首を傾げる。
「変な意味ではないんだ。ただ、昔を思うと、こうやって君と話しているのが何だか不思議に思える。」
井吹が、ますますわからないといった表情で首を傾げた。
詳しく話してもよかったが、しかし今話すのはやめた。こんな場所で長居するのもあまり良いとは思えない。それに、今話してしまったら、井吹が恥ずかしがってこの柔らかくなった表情を見せてくれない気がした。
だから、こういう照れくさい話は、酒でも入ってお互いぽやんとしている時にでもゆっくり話せばいい。
そう言えば井吹は酒があまり飲めないんだった気もする。
だが俺はそれすら楽観視できるほど何か嬉しくなっていた。
井吹が笑うようになった理由がもし俺だったら、などと考えていたからだ。
・・・ということを考えてひとりで嬉しくなっていられたのは、その晩くらいだった。
翌朝、俺は新たに流れ始めた噂に愕然とする羽目になる。
噂の内容はこうだ。
『監察方の山崎はじつは霊能者で、成仏できぬかつての友、井吹龍之介とたびたび昔話に花を咲かせている』
声が出ぬ井吹と俺が話している所をうっかり聞いてしまったがために「山崎さんがひとりで、否、件の幽霊と話している」と勘違いした隊士が流したであろう噂話で、それから約ひと月半ほど俺は悩まされることになった。
なんという山崎徒労話。このくらい苦労してる山崎が好きです。
山崎はなんだかんだで龍之介大好きだとおもう。変な意味じゃなく純粋に。
山崎と龍之介が本当に腹を割って話せるような仲になるなんて、最初じゃ想像つきませんでしたねー・・・。
ちなみに最初のほうにあった「どうでもいい作り話」ですが、実は作り話じゃないのがあったり。
ひとつは事実ですよー。
このへんに書いときます→しんぱっつぁんがよくないハッスルをして子作りしちゃったのはホント。新八と遊女の間にできた子は女の子で、後に女優になったとか。戊辰戦争の後再会したらしいです。
とまあ今回はずいぶん長かった上によくわからない内容になりましたが、何が言いたいのかというと、龍之介と山崎のコンビが死ぬほど好きです(キリッ
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読み方はよく間違われますが「かえる」ではなく「かわず」です。
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