薄桜鬼の小説を中心に活動していきたいと思っています。お気軽に拍手orコメントいただけるとうれしいです。
こんなに久しぶりにうpなのに、なんだかものすごく暗い作品になりましたorz
本当は黎明録発売日にものすごいいい話書こうと思っていたんですが、途中で行き詰まり断念。
今回のは、題名どおり龍之介BADEND後のおはなし。
いわずもがな、暗いです。多分今までの作品で一番暗い。短いし、尚且つ死ネタでネタバレです。
うpしようかどうか迷ったのですが、どうしてもノーマルBADの龍之介の死に際が忘れられず・・・。
内容としては、龍之介の死んだ翌日の、ちょっと気抜けした浪士組。
沖田視点です。
死ネタ、シリアス、ネタバレ含みますので、苦手な方はご注意ください。
おkという方は↓からどうぞー。
本当は黎明録発売日にものすごいいい話書こうと思っていたんですが、途中で行き詰まり断念。
今回のは、題名どおり龍之介BADEND後のおはなし。
いわずもがな、暗いです。多分今までの作品で一番暗い。短いし、尚且つ死ネタでネタバレです。
うpしようかどうか迷ったのですが、どうしてもノーマルBADの龍之介の死に際が忘れられず・・・。
内容としては、龍之介の死んだ翌日の、ちょっと気抜けした浪士組。
沖田視点です。
死ネタ、シリアス、ネタバレ含みますので、苦手な方はご注意ください。
おkという方は↓からどうぞー。
翳りの日常
すごくいい朝だった。日が暖かくて、空が青くて、風が気持ちよくて。
どんなに寝起きの悪い人でも早起き出来てしまうような、気持ちのいい朝だった。
そんな朝に、井吹君は死体になって帰ってきた。
井吹君の死体が見つかったのは、まだ涼しい明け方だった。巡察にでかけた左之さんが、道端で数人の浪士と一緒に血溜まりに倒れた井吹君を見つけたのだという。
傷は首筋に一箇所だけ。深くて大きくて、致命傷には充分すぎる一太刀だった。
「まるでな、芝居の一部みてぇだったよ。日だまりに倒れたあいつの顔が、気持ち悪いくらい優しかった。」
そう言う左之さんの隣で、平助が膝を抱えてうずくまっていた。多分泣いてたんだと思う。肩が小さく震えていた。
「綱道さんの消息はつかめたのか。」
苛立った土方さんが、何度も何度も同じことを言っていた。井吹君がどうして浪士と一緒に倒れていたのかも、他の浪士がみんな一太刀で殺されていた理由も分からなかったけれど、彼が綱道さんを送りに行って斬られたことだけは確かだった。
土方さんがいらいらしている理由は、なんとなくみんな分かっていて、今日の溜め息だけは疲れや悩みからじゃないと知っていた。
縁側から庭を眺める一君が、同じく縁側に座る僕に、珍しく自分から声をかけた。
「井吹の顔を見たか。」
「見てないよ。左之さんが、気持ち悪い顔してたって言ってたけど。」
「彼の者は、笑っているように見えた。」
一君は、僕に話しかけながらも、ずっと庭だけを眺めていた。そこは、ついさっきまで井吹君の死体が置かれていた場所だった。
「井吹は何故、笑っていたのだろう。」
「気のせいじゃない?斬り殺されたんだよ、井吹君は。」
「井吹は、本当に満足げな顔をしていた。」
僕は、井吹君の死に顔を見ていない。見る必要なんてないと思ったから、見ていなかった。
けれど見た人は一様に、一君と同じことを言った。「穏やかな顔だった」「満足そうな顔だった」って。
笑っていた、って言う人もいた。僕には想像もつかない。僕は、井吹君の笑顔をみたことがほとんどなかった。
前川邸も、静かだった。最近いらいらしがちな芹沢さんでさえ、部屋から出てこなかったらしい。
ただ、井戸の前で平間さんが一人きり、まるで老人みたいな小さい背中をむけたまま、黙って洗濯物をしていた。
どうしてなのか、理由の分からない静けさは嫌いだ。
こんなにいい天気なのに、稽古の声はどこか覇気がなかった。
それでも、いつもどおり一日は過ぎていく。朝ご飯を食べて、稽古して、たまにひなたぼっこをして。
笑っている人がいる。泣いている人がいる。いつもと何も変わらない。
人が死ぬことだって、ここでは非日常じゃない。
今ここに立ちこめるのは異常じゃなくて、ほんのすこしだけいつもと違うだけの日常。
それでも僕は、その日常のなかで、よくわからない気持ちに苛まれていた。悲しみなんかじゃない。寂しさでもない。けれどそれは、僕の胸をもやもやと漂っている。
大嫌いだった井吹君が死んだから、もっとせいせいしてるはずなのに、彼を気付けば探している。いつも彼がいる場所を回っている。
庭、広間、縁側、井戸、前川さんの家。どこにも彼はいない。
いるはずない。
「…井吹君、死んじゃったんだ。」
すこしだけ何かが足りないような、ちょっとしたことですぐ忘れてしまいそうな寒さが、僕の足をふわふわとさせる。
彼が、僕の中の何かを変えてしまったことが悔しくなって、そこで僕はようやく井吹君の死を認めた。
そして、どこを探しても見つからない日常の断片を、翳った晴天に照らされながらぼんやり思い出していた。
自分でもびっくりなくらい暗い作品です(^q^)
黎明録でノーマルバッドエンドをしたとき、なんだかもう本当にやり切れませんでした。
龍之介一人が満足げで、龍之介のその喜びは決して誰にも語られることがない、知られることがない。
ほかの人から見たらどう見ても不遇な16歳は、ささやかなことで喜んで死んでいったんです。
BADEND大好物の私としても、大変心の痛いエンディングでした。
浪士組での「死」は、本当に身近なものです。それこそ、人一人死んだくらいじゃ誰も泣いてくれません。
でも、だからこその空虚感というか、それを理解できないモヤモヤというか、それを上手く表現できるのは多分沖田ぐらいなもんです。
龍之介が死んでも、浪士組の日常は揺るがない。けれど、龍之介の存在は多分、ほかの人たちにとっても小さいものじゃなかったはず。
そんな妄想で書いた小説です。
あと一番書きたかった平間さんが書けて満足。
PR
この記事にコメントする
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カウンター
最新トラックバック
プロフィール
HN:
蛙
性別:
女性
職業:
妄想
趣味:
PC、イラスト、読書、ゲーム、小説執筆など
自己紹介:
薄桜鬼、BASARAを主食として時に雑食。
ついった https://twitter.com/#!/kawazu84
ピクシブ http://www.pixiv.net/member.php?id=1406302
ついったには鍵がかかってますが、リアルの知り合いにばれないためなので報告していただければこちらからもリフォローするとおもいます。
読み方はよく間違われますが「かえる」ではなく「かわず」です。
ついった https://twitter.com/#!/kawazu84
ピクシブ http://www.pixiv.net/member.php?id=1406302
ついったには鍵がかかってますが、リアルの知り合いにばれないためなので報告していただければこちらからもリフォローするとおもいます。
読み方はよく間違われますが「かえる」ではなく「かわず」です。
ブログ内検索
ブログパーツ